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「銀輪記」~自転車旅行の記憶~

安芸灘とびしま海道、かきしま海道キャンプツーリング

さてさて、久しぶりのブログ更新です。
旅はもう昨年になりますが、12月初めのお話・・・・・・。


冬のキャンプツーリングに久々に行きたい。ランドナーのジロー号のメンテナンスもちょうど終わったことだし、オーストリッチ製のクラシカルな4サイドバッグに、荷物、キャンプ道具一式を詰め込んで準備ok。

ヒトの少ない所に行きたいと思うと、自ずと行き先は決まってくる。島。それも、できれば離島がいいですな。

日程は2日間半+α。初日は午前中まで仕事。仕事が終わり次第すぐに乗れる船から考えて、最初に渡るのは大崎上島にしましたぞ。大崎上島から今注目のサイクリングロード「安芸灘とびしま海道」を通って、広島の「かきしま海道」へと向かうルートをなんとなくざっくりと頭の中に描きながらスタート。呉市内から倉橋島・江田島と渡る「かきしま海道」は、行ったことがなかったので、今回のメインディッシュになる予定です。




≪とびしま・かきしまキャンプツーリング1日目≫
今治港~大崎上島


今治港から大崎上島木江港へと向かう

今治13:05出港のフェリー、大三島ブルーラインで、大崎上島の木江港(天満港)を目指します。今治港「はーばりー」の港湾事務所の切符売り場で、木江行のチケットを購入。瀬戸内海のフェリーに、サイクリング目的で自転車を持ち込むときに使える割引パス「サイクルーズPASS」をチケット売り場のおばちゃんからもらったので、数百円、安くチケットを購入できました。これはラッキー。

木江港

途中、大三島の宗方港に立ち寄るこのフェリー。1時間ほどで木江港に到着。大崎上島は周りの島と繋がっていない離島。この南側にある大崎下島は、とびしま海道の島のひとつです。

大崎上島木江の町並み

まずは木江を散策。路地が多く、坂も多い町でしたぞ。かつては遊郭もあって風待ちの港として栄えた木江の町も、歩いている人はまばら。ゆっくりとした時間の流れる島の小さな集落といった風情となっていました。

はてはて。

ここからは、大崎上島の東岸にそって北上。全くアップダウンのない海沿いの道を進みます。竹原へと渡るフェリーが出ている垂水港から先は、交通量も増え、中心街に近づいている感じがします。

町なかのスーパーマーケットで、夕飯キャンプの食材を調達。なかなか寒い時期なので、熱燗をしたいところです。広島のカップのお酒を購入。これを湯せんにかけてみようという魂胆です。

大崎上島の長島大橋

そして、今晩のキャンプ地は大串キャンプ場。以前にも、とびしま海道のキャンプツーリングで訪れたことのあるキャンプ場です。水場やトイレも整備されていて、広々としたキャンプサイト。もちろん、12月のこの時季なので、他のキャンパーは皆無。

すぐ目の前が海水浴場なので、夏場は泳いだら最高でしょう。それと、このキャンプ場は島の西側にあるので、夕陽が楽しみですな。と、さっきまで晴天だったのに、風が出始め、雲がもくもくと登場。あっという間に西側の空が曇り、太陽は赤くなるまえに雲の中にストン。

残念ながら、大串の夕陽はお預け。夕飯づくりに徹します。そして、極寒キャンプの一番の楽しみ、熱燗。体の芯からポカポカと温まるこの感じ。最高です。




≪とびしま・かきしまキャンプツーリング2日目≫
大崎上島~とびしま海道~かきしま海道・江田島


夕方から吹き始めた西風が、夜の間も全く止むことがなく。僕のテントは一晩中、ビルビルビルビルうるさかったです。この時期のキャンプは、虫がいないのが最高ですが、一番の敵となるのが、この強い風かもしれません。

キャンプツーリングの朝食

朝食を作るときも、この風に難儀します。コーヒーを入れようにも、風がビュービュー。熱がお湯にうまく伝わりません。こんな時に、熱がしっかり伝わるジェットボイルなどのキャンプ用品が欲しくなります。

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ネルドリップで、挽きたてのコーヒーを入れるも、出来上がったころには完全に冷ぇひえ……;

風の強い時の野外コーヒーはインスタントが最強かもしれませんな。

とびしま絶景ロード

大串からは南側の明石に向かっては、65号線を走ってもつまらないので、海側の農道「とびしま絶景ロード」を行きましょう。とびしま島走MAPで「とびしま絶景ロード」と紹介されているこのルート。絶景にありつくためには、ちょっとキツめの勾配の上り坂を登っていきますが・・・・・・。

次から次へと、絶景オーシャンビューが連続。

アップダウンが続きますが、お気に入りのサイクリングルートです。

65号線に合流して、小さな峠を越えると明石の町に出ます。ここから、大崎下島の小長港にフェリーがでています。これで、「安芸灘とびしま海道」へと渡ります。

大崎下島明石のイチョウ


フェリーの時間まで1時間ほどあったので、ちょっと町中を散策。大きな銀杏が綺麗な神社があったので、お参り。

明石小長フェリー

さて、大崎上島・明石港から大崎下島・小長港へのフェリーに乗り込みます。明石港に着いてから出港まで1時間ほど待ちましたが、ほんの20分ほどで小長港へと着いてしまいます。このあたりの島々は密集していて、それぞれかなり近いんですね。

大崎下島・小長港に到着。

ここから「安芸灘とびしま海道」サイクリング開始です。ちなみに「小長」は「おちょう」と読みます。すぐ横には「大長」=「おおちょう」という町もあって、結構紛らわしいです。英語表記だとどっちも「Ocho」??

今回の僕のルートとは逆の、とびしま海道から大崎上島へと渡る場合は、自転車はこの「小長港」からのフェリーに乗り込みます。「大長港」と間違えないように注意が必要ですぞい。

大崎下島ネロリの島

小長港の2Fに、知らない間にカフェが出来ていました。「cafe with book ネロリの島」。レモンオイルの醸造所も併設しているようで、建物の外からすでにレモンのいい香りが漂っています。去年来た時から、ずいぶんと明るくいい感じの港に雰囲気が変わっていて驚きです。

ネロリの島でコーヒー

朝、コーヒーを淹れるのに失敗して、モヤモヤしていたので、美味しいコーヒーを頂いてスッキリ。

とびしま海道サイクリング1

とびしま海道サイクリング2

大崎下島、豊島、上蒲刈島、下蒲刈島……と「安芸灘とびしま海道」の海沿いをサイクリングしていきます。海沿いは、こちらも全くアップダウンのないフラットなコース。「とびしま海道」は「しまなみ海道」と比べ、防波堤も低く、完全に海岸線に沿って道が延びているので、より海が近いような感じがします。

「とびしま海道は、やっぱ最高だなぁ」

何度、独り言のようにつぶやいたかわかりません。天気もいい感じ。風も午前中でおさまり、最高の「とびしま日和」ですな。大崎下島、豊島、上蒲刈島、下蒲刈島の4つの島をアイランドホッピングして、最後の「安芸灘大橋」へ。

安芸灘大橋からの夕景

ちょうど、安芸灘大橋の上で、夕景!昨日は雲にストンと隠れて見ることができなかった夕陽。2日目は最高の形で見ることができました。こんなに天気に恵まれる旅は、僕の旅では珍しいかも???

ただし、夕陽ということはここからナイトライド・・・・・・。

翌日、「かきしま海道」を楽しみたいので、夜の間に「とびしま海道」から「かきしま海道」へと移動しておきたいところです。それに本州に渡ってからは交通量も多く、走りにくいですからね。幅の広いキャンプツーリングの自転車だと、都市部では余計に邪魔になりますしね。やっぱり、のどかな島がいいです。

ということで、夜の間に「広」の町なかを通過。スーパーで食材を買い出ししてから、半島を南下し、「かきしま海道」の入り口「音戸の瀬戸」へ向かいます。音戸の瀬戸は、呉市本州と倉橋島との間の狭い瀬戸。平清盛が切り開いた海峡だとかそうじゃないとか。真偽のほどはよく分かりませんが、とにかく真っ暗でライトアップされた橋と、ぼんやりと明かりのついた町なみ以外何も見えず。

音戸の渡し

あの橋まで登るのかぁ・・・・・・; とひさびさの長距離4サイドバックキャンプツーリング車ナイトライドに加え、そびえる音戸大橋にすっかりナーバスになっていると「音戸渡船」の看板を発見!

「おおおおおおお、渡船があるんじゃんか!!!」

乗り場の明かりがついているので、まだ乗れそうです。自転車を押して、乗り場にいくと小屋の中におじちゃんがいます。

「あの~、すみません。」

「・・・・・・なんだ・・・・・・・渡りたいんか?」

「あ、はい・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

おじちゃんはそう聞いたきり、無言で立ち上がり、船の方へ。とりあえず付いていきます。というか「渡りたいんか」って・・・・・渡船に乗る以外の目的でここに来る人いるんかいな。と、その、なんだかぶっきらぼうな感じが面白くて、裸電球がつる下げられた小さな船も、とても味わい深く、「なんだなんだ、旅情があるなぁ~」なんて。

夜の倉橋島、上陸。

初めて来る場所だと、毎度の事なのですは、キャンプ地を探すのに難儀。加えて倉橋島の北西側ルートは夜の間でも意外と交通量が多く「なんだよ、かきしま海道・・・・・・」と文句たらたら。暗い中、とうとう江田島まで来てしまい、やっとのことでキャンプ場へ到着。

「はあ、なんとか寝れそうだ……。」

夕飯を作るのも面倒ではあったものの、もう腹ペコなので、パパッとキャンプ飯にして、熱燗をぷはーーーー。かきしま海道の交通量の多さに文句たらたらだったのも、いつの間にか吹っ飛び、「橋の夜景もなかなかいいじゃん」と思いはじめていた。冬のキャンプツーリングの醍醐味は、やはりこの熱燗にあると思う。




≪とびしま・かきしまキャンプツーリング3日目≫
江田島・かきしま海道~とびしま海道~岡村島


かきしま海道キャンプツーリング朝

江田島で迎えた3日目の朝。

夜の倉橋島、北西の交通量の多さに閉口し、「もう、かきしま海道サイクリング十分かなぁ、早くとびしま海道へ戻るか・・・。」と、当初の予定≪かきしま海道サイクリングを楽しむ≫の熱がすっかりなくなり。ここでUターンすることに。

来た道を戻っても、あの憎き「倉橋島北西ルート」を通るのは嫌だなということで、倉橋島の真ん中で反対側に出て、北東ルートをとって音戸の瀬戸へと向かうことにした。江田島は片足つっこんだだけで終わりになるけど、致し方ない。

倉橋島サイクリング

倉橋島の中央に向け、南下していくと、なんだか一気に田舎ののどかな風景に。

あれ、これって僕が思い描いてたまさに「かきしま海道」の風景じゃないか?!南へ行くほど、どんどんカキの養殖と穏やかな瀬戸内の海の風景になっていく・・・・・・。そして、気が付くと、道にはサイクリングロードを示すブルーラインが。

どうやら、昨日の夜に通った倉橋島北西のルートは、サイクリング推奨ルートではなかったみたい……。たしかにブルーラインをみた覚えがない。どうやら、昨晩文句たらたらで走ったルートは、クルマで呉市内から江田島方面へ抜ける幹線道路だったらしい。

あやうく、「かきしま海道」の間違ったイメージを持ったまま帰ることになるところでした。

ブルーライン沿いのルートはとっても走りやすく、風景も抜群。道沿いでたき火に当たっているゲートボール同好会のおじいちゃんたちもなかなか絵になる。「かきしま海道」のほんの一部であるものの、倉橋島北東ルートを十分に満喫して、音戸の瀬戸へと戻ってきましたぞ。

音戸の瀬戸

おお、これは素敵な風景。昨日は夜に来たので全然わからなかったのですが、音戸の瀬戸。ほかにはなかなか無い狭い瀬戸の風景ですな。たくさんの船が往来しています。

音戸の瀬戸渡し舟

暗くてよく分からなかった音戸渡船の建物も、かなり古そうで渋い!手書きの「音戸渡船」の文字がなんとも味わいありますね。

「そういえば、ここはもう広島県だったな」

ということで、お昼は広のお好み焼きやさん「みっちゃん」でお好み焼きを。アツアツでこれが美味い!!地元の人しか来ないようなローカルなお店で、旅にはこんなお店がいいですねぇ。

安芸灘大橋

広から仁方へと移動し、安芸灘大橋で「とびしま海道」へと戻ります。さてさて帰ってきましたなぁ。

行きのとびしま海道「大崎下島~下蒲刈島」まで通った方とは逆側の海岸ルートで、帰りは岡村島方面へと向かうことにしました。とびしま海道は北側・南側どちらのルートを通っても、走りやすいので気軽にどっちを走ろうか選べていいですね。

とびしま海道の橋からの風景

とびしま海道の橋の上からの風景は、なんとも美しいものがあります。少しずつ、山が赤く染まり始めています。

とびしま海道の夕陽

夕日を見るために、途中から、とびしま海道南側の海岸線ルートをサイクリングすることにしました。夕日を撮るために三脚を立てたカメラマンさんたちも数人すれ違いました。これはあと10分ほどすれば、良い写真が撮れるに違いありません!

とびしま海道の夕日その2

おお!!いい夕日!!

大崎下島の南側からの夕景でした。日が暮れてしまっても、どこかその辺でキャンプを張ればいい・・・・・・・。この余裕のある感じがキャンプツーリングならではかもしれません。キャンプ道具一式もっていなかったら、宿までなんとしても行かなくては!フェリーの時刻になんとか間に合わなければ!!!と必死になってペダルを漕いでいるところかもしれません。

真っ暗な中、大崎下島の御手洗(みたらい)の町に到着。

ここも風待ちの港町として古くから栄えた町。歴史保存地区の町並み。タイムスリップしたような感じ。今は、もう街灯だけが灯って、静かな夜ですが、遊郭のあった頃の夜は、きっと煌びやかで、賑わっている風景があったのかもしれません。そんなかつての賑わいを想像しながら、夜の御手洗をサイクリング。


岡村島へと渡り、最終日のキャンプ地は無料の「正月鼻キャンプ場」にしました。まだ、岡村港から今治港への最終フェリー18:05発にもぎりぎり間に合う時間でしたが、せっかくキャンプツーリングに来たのだから、キャンプして、次の朝一のフェリーで帰ることにしました。街灯も皆無で、クルマの通行も一切なし。ここがキャンプ場で合っているのかもよく分からないような状況でのキャンプ。

遠くの島々に町の明かりや船の明かりがぼんやりしているだけで、あとは月と星の光のみ・・・・・・。

ただ翌朝は、早朝のフェリー6:50発で帰るので、とっととテント設営して、早めの就寝です。




≪とびしま・かきしまキャンプツーリング4日目・最終日≫

最終日、といっても、フェリーで今治に帰るだけですが・・・。

朝5時、まだ真っ暗な中、起床。お湯だけ沸かしてインスタントスープで体を温めます。15分ほど走って岡村港到着。朝早くなのに、すでに船を待っている島の方が何人かいました。もちろん、こんな時間に島から今治へと渡るサイクリストは皆無。ぼくも、こんな時間に初めて乗ります。

辺りがだんだん明るくなってきました。空のグラデーションが綺麗です。

岡村島から今治港へのフェリー

船の上で、夜明けを迎えました。短いキャンプツーリングでしたが、僕の旅には珍しく天気に恵まれ……。まあ、たまにはそういうこともありますわな。

「かきしま海道」の第一印象があまりに悪く、一時は「わざわざ遠くまできて失敗したか?」と思いましたが、それも思い違いだったかも。しまなみ海道やとびしま海道には無い、また違った景色を楽しむことができました。今回は、倉橋島の南側、それに江田島もまだ全然走っていないので、なんともいえないですが。また、機会があれば江田島いくのもアリかな、なんて、う~む本当かな。

「本船は間もなく、今治港へと入港いたします。着岸の際に多少の動揺が・・・・・・」

あれあれ、もう旅は終わりですか。あっという間に、帰ってきてしまいました。

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歌~戸崎フェリーを使って横島・田島の内海町をサイクリング|第4話

島キャンプツーリング第4話

第1話 第2話 第3話


午後から雨の予報だったので、一日動かずにいようかとも思っていたが、思いの外雨が遅れているらしく、夕方から雨が降る予報へと変わっていることに気が付いた。じっとしているのも、悪くはない。ただ、どこか走りに行きたいところが出来れば、走りに行こう。

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とりあえず、尾道から向島へ渡船で渡った。考えてみれば、向島というこの島。今治から最も離れていることもあって、いつも通過するだけの島になっていた。島の全体像が僕のなかではぼやっとしている島だった。ちょっと散策してみようと思った。

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小さな船をつくる小さな造船所が並んでいるところがあった。船こそ小さいものの、かなり近い場所で作業を見ることができた。これはおもしろい。意外と、路地も入り組んでおり、切り通しや丘などもたのしめた。向島もなかなかいい。

そういえば、向島から沼隈半島方面へフェリーが出ているということを聞いたことがあったのを思い出した。しまなみ海道を渡ってから鞆の浦経由で福山へ抜けることを考えていた人が使おうとしていたフェリーだ。たしか、「歌」とかいう変わった地名の港だった気がする。なんとなく、そちらの方面を走っていると「歌港はこちら」の看板を発見。看板に従っていくと、ここに本当に港があるのかと疑いたくなるような田舎道へと誘導され、畑が広がる一角にポツリとフェリー乗り場が現れた。ここか。

キップ売り場とかいくらかかるとかも分からずに、乗り場まで行くと、船の上から船長が手招きしている。とにかく乗れということらしい。その通りに乗ると、乗った瞬間にフェリーが動き出した。乗客は僕だけ。どうやら「時刻表」というものがないらしい。人が来たら乗せて出港。確かに反対側の戸崎港もすぐそこで、こちらからも見える距離である。

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あとから、知ったのだが、戸崎側には船を呼ぶための信号?ボタン?があるらしく、それで渡りたい意思表示をすると船が来てくれるというものらしい。ある意味、便利で無駄がないのかもしれないシステムが、なかなかおもしろかった。

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紫色というか、えんじ色のユニフォームが印象的な常石造船のある常石という町を通り抜けた。歩いている人のほとんどが、そのえんじ色の作業服。突如現れたファミリーマートも作業員の人しかいないような場所だった。大きな造船所だった。

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内海大橋という橋があることは知っていたし、年末に鞆の浦まで走った時に見かけてはいた。調べてみると、「田島」「横島」という2つの島、内海町というその町に繋がっている橋だった。何があるか分からないけれど、行ってみたいと思った。近くの「百島」という島も気になったものの、船で行くしか手段がなく、雨が降ってくる前に帰りたい僕には、「こっちは今度にしよう」という気にさせた。

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内海大橋までは、ガツンと坂道をのぼった。橋自体は細身で結構怖い。途中、天井がフルオープンになるのもなんとも頼りない。高所が得意でない僕には、あまり気持ちのいい橋とは言えなかった。もちろん景色は悪くない。

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田島も横島も、本当に何にもない島だった。

何もないのが良いといえばいい。

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路地をやたらに走ったり、海岸沿いをぐるっと走ってみたりした。

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おもしろかったのが、立ち寄った鮮魚店。生簀が真ん中にあり、生きた状態でタイなどの魚やシャコなどを売っている。小さな魚市場だった。奥の方には、スーパーマーケットにあるような商品ケースがあり、そこにはパックされた魚介類が並ぶ。

変な音がしている。

その商品ケースからパタパタと音がしている。最初、何の音なのかが分からなかった。不思議に思い、覗き込んでみると、やはりパックされた魚が陳列されている。その中の一つ、パックされた丸々一匹の鯛、470円がまだ生きている状態でパックされていたのだ。そのまだ生きている470円が、パタパタピチピチと威勢よく動いていたのである。

これには驚いた。今まで生きた状態でパックされ売られている魚って見たことがない。

これは新鮮!!と最初は思ったものの、よくよく考えたら締めていない状態で放置されているってことで、これってどうなんだろう?と思いはじめた。新鮮さや魚の美味さに関しては分からなかったが、とにかくその状態がおもしろかった。

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となりの食堂で、お昼ご飯を食べてみる事にした。ちょうどお腹が減ったし、せっかくだから刺身の定食を注文した。これが安くて美味かった。

空の色が悪い具合に変わってきている。

早く帰らねば。


>> 第5話へ

とびしま大崎上島一周サイクリング~大串・木江・垂水を走る|第3話

島ツーリング第3話

第1話 第2話


早寝をしたら、早起きになる。夜が明ける前に目覚めて、珈琲をいれる。もちろんインスタント。UCC。太陽は山から昇った。携帯電話でしかしゃべってなかった管理人のおいちゃんが、朝集金に来た。このあたりでシーカヤックもやってらっしゃるらしい。

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今日も特別、予定があるわけでもないので、朝はゆっくりした。

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昨日は気が付かなかったが、湿地帯が広がっていた。手が入っていない感じが良かった。ただ太陽光発電のパネルが広がっていて、これからどんどん広がっていくのかもしれない。

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島を横切って、木江という町に向かった。東側の海岸沿いを走ってみる。ヤマザキショップで朝飯を買い込み、少し補給。補給をしていると、どこからか大音量の「軍艦マーチ」が。何事かと思っていると、前から来たおばちゃんが「軍艦マーチが流れたから船が出るよ。なかなか見れんから見るといい。堤防の方に行くと見えるよ。」どうやら造船所の出港式があるらしい。

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だから、軍艦マーチが流れていたのか。

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出航・・・・・・。大したことはなかった。むむむ。でも、朝から大音量の軍艦マーチはおもしろかった。

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木造5階建ての建物。これもおもしろい。

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木江から垂水に向けて海岸沿いを走ることにした。垂水港と白水港から竹原へフェリーが出ている。これに乗って竹原に渡ってしまおうと。大崎下島に戻って「とびしま海道」を走るのも悪くはないものの、この間走ったばかりだということもあるのでやめにした。尾道でゆっくりしよう。

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ちょうど出航時間に間に合ったので、垂水港からフェリーに乗り込んだ。寝るような時間もなく竹原の港に着いてしまった。大崎上島は思っていたよりもずっと広島の陸地部に近かった。

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もはや何度も来ている竹原の町をとりあえずぶらついて、いつもの喫茶店「プリンス」でコーヒーを一杯。平日だがお昼時ということもあり、なかなか繁盛していた。マスターが「待たせてごめんねぇ」と言って出してくださったコーヒーを味わいながら休憩。のんびりさせてもらった。

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さざなみ海道は、ストレスがたまる。交通量が多いうえに走りにくいときている。できる限り、裏道に逃げながら、といってもほとんどの場所で唯一ルートしかなく、他に選択肢がない、あっても山道なのだが・・・。

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日が暮れるのと同時に尾道に到着。町は路地裏に入るとなかなかおもしろかった。買い物帰りのおばちゃんやら、井戸端会議中のおばあさん。昔からの商店。犬の散歩。下校途中の高校生。そこに生活している人の感じが伝わってくるのがいい。人がほとんどいない場所を走っていたから、余計これがおもしろく感じるのかもしれないとも思った。ツーリング2日目が終わり。

明日は雨かもしれない。


>> 第4話へ

大崎上島の南西・とびしま絶景ロードと大串キャンプ場|第2話

島キャンプツーリング第2話

第1話


ほんの15分ほどの船旅で、大崎上島の明石港へ。大崎上島に来るのは初めて。とりあえず一周してみたいと思った。自転車は左側通行ということから、島は時計回りに回るのが定石。ぼくもそれに倣って明石から西方向へ。

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今回、とびしま島走MAPを持って来ているので、これに情報を頼りながら。Google Mapは使わない。GPSに頼らない。もちろん迷うこともあるけど、道のつくりや山のカタチをじっくり見るようになる。自分の場所を把握するために、いろんなものを観察するようになる。敏感になる。

ということで、マップを頼りに何度も迷いながら「とびしま絶景ロード」という道へ。入り口がかなり分かりにくいものの、入ってしまえば分岐もないので道なりに。

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確かに絶景が続きますが、アップダウンの繰り返しでかなりきつい。4サイドバッグで登りはやはり重い。自分の体重でぐいぐいと押し込みながら登る。ようやく下りきると、目の前に砂浜が広がる。

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なんだか、いい感じ。妙にこの景色が気に入り、しばらくぼうっとしていた。途中で手に入れたミカンを食べる。美味い。少し走ってみると、この砂浜のところに大串キャンプ場というキャンプ場があることを知った。広いし、屋根もある。西を向いているから、夕陽もキレイそうだ。少し走ってスーパーで買い出ししてここの戻ってくるのもいいと思った。

スーパーに行くために地図を見ていたら「徳森食堂」の文字が目に入ってきた。そういえば、上島には美味しいラーメン屋があるって聞いたことがある。ここか。行ってみよう。

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徳森食堂。あまりにお腹が減っていたので、チャーシューメン大盛りを注文。店の中に池があり、鯉が泳いでいる。おばちゃんが一人で切り盛りしていた。途中、日本語のほとんどしゃべれない造船関係と思われる外国からのお客さんが来たが、おばちゃんは動じず思いっきり日本語でコミュニケーションが取れていた。さすがという感じ。

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美味しいラーメン、ごちそう様。

大串キャンプ場に戻る事にし、ホームページに書いてあった電話番号にかける。つながらない。携帯番号も書いてあったので、こちらにかけてみると、つながった。ただ、おいちゃんは今、大阪にいるという。どうやら大阪マラソンに参加していて走り終わったばかりらしい。おもしろい。とりあえず、テント張っていい許可をもらったので、自由にさせてもらう。

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抜群のロケーション。いい。これはいい。

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温泉まで行ってかえってくると、夕陽が沈んでしまいそうだ。というよりも、早く飲み始めたいので、温泉はパス。スーパーで買い込んできた「はげの薄造り」なる妙に気になる刺身をアテに飲み始め。

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最高に贅沢。


>> 第3話へ

岡村島ナガタニ展望台へ登り小長港から大崎上島へ|第1話

島キャンプツーリング第1話



「ひさびさにキャンプツーリングがしたい。」

ランドナーの師匠キャンキャンさんとの再会。シクロの家で出会う、自転車旅人。そんなこんなで、ああ、キャンプツーリングに出ていないなあと気がついた。日帰りのツーリングは休日のたんびに出かけているし、8月には阿蘇への2泊3日のツーリングにも行った。阿蘇はタイトな日程である程度の距離を走らなくてはならなかったため、ロードバイクで、しかもゲストハウス泊だった。

4サイドバッグにテントやキャンプ道具を詰め込んで出かけよう。ちょうど、連休があったので前日から早速荷物を詰め込む。さて、どこに行くか・・・。島でキャンプをしたいと思った。ただ、この連休はちょうどしまなみ海道でサイクリング大会が開催されるときている。しまなみへ行っても、人が多いだろうということで、とりあえず「とびしま海道」の岡村島へフェリーで行ってみることにした。先日のとびしまツアーでも、岡村には寄っていなかった。ちょうどいい。

8:25今治発岡村行のフェリーに乗り込んだ。日曜日ということもあり、同じ船には20台近くものローディが乗っている。ツーリング車はぼくだけだ。1時間ほどの船旅で、岡村港へと着いた。

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大きな島ではないので、まずは一周してみた。南側は広めの道だったが、北側は細い細い海沿いの道で、辺鄙な島へ来ているという感じがする。岡村港周辺の集落は、道が入り組んでいて、路地裏に雰囲気があった。かなり昔から時が止まったような家々が立ち並んでいるのだが、島の人たちの生活感も感じられる。

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何を思ったか、「ナガタニ展望台」に登ってみることにした。この間、とびしまを走ってきたシクロの家のゲストさんが、とてつもなくキツイ坂で、しかし途中の景色はすごく良かったと言っていたのだ。しかも、急カーブでインコースをつくバイクが転げるポイントがあるらしく、そこには地元の人がインコースに軽トラを駐車して、大回りするようにしてくれているらしいという話も気になった。

確かに、一番えぐい急カーブの登り坂に白い軽トラが置かれていた。なるほど、これは転げるという坂だった。みかん畑の中を行く道も、なかなか良かった。もうだいぶ黄色い。

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この景色は、ナガタニ展望台からではない。

途中のみかん農家さんが、個人的に展望所&庭園を造園。勝手に入ってくださいということらしい。上の「ナガタニ」に行ってみると分かるのだが、ここの景色が特にすばらしい。大崎下島との間の海峡を船が行き来している。御手洗の町も見える。奥にはこれから渡る橋も。

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頂上のナガタニ展望台からは、広い範囲の海が望めた。遠くに来島海峡大橋、しまなみ海道も見える。日曜日であったが、僕の他には観光客もまったくいない。絶景を独り占めしている気がして気持ちが良かった。

さて、このあとどうしようか。

岡村島へ来ることだけは決めていたものの、それ以外全く決めていない気ままな旅。どこに行くのも自由。こんなに贅沢なことはないと思った。

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岡村から小さな橋を3つ越えて、とりあえず大崎下島へと上陸。ここはこの間のとびしまツアーで来ているので、町の位置関係はだいたい把握している。確か、大長港と小長港の2つの港からは大崎上島への船が出ていたはずだ。このままとびしま海道を渡って、豊島方面へ行くのも良い。フェリーの時間を見て、決めようと思った。

小長港へ行ってみると、次の大崎上島、明石港行きのフェリーが12:50。まだ50分ほどある。

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この間、時間の関係でしっかり見れなかった「大長」の町をじっくり見て回ることにした。ちいさな集落ではあるが、やはり路地が入り組んでいて風情と生活感がある。

ちなみに、「大長」は「おおちょう」、「小長」は「おちょう」と読むらしい。うむ、意外な読み方であるし、紛らわしい読み方でもある。

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大長の港は、海に浮かぶ駅舎のようだった。

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12:50発の明石港行きフェリー。僕のほかにも、ローディが5人ほど乗っている。

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大崎上島は、このあたりの比較的大きな島で唯一橋で繋がっていない島。



>> 第2話へ
ようこそ、銀輪記へ

手にした一台の自転車は、思いがけず遠くへと私を連れていき、生活へと染み込み、ついに。

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