2012 7 15
長野県松本 道の駅「風穴の里」

朝、5時に起床。激しい雨音で目を覚ましました。連休中ということもあり、多くの車が停まっており、この道の駅で一晩を過ごした車組みも多かったようです。どうしようもない雨なので、しばらく待機することにしました。
今日、この雨の中、乗鞍の山頂2700mまでチャレンジするか・・・明日のチャレンジにして、ふもとの乗鞍高原という民宿ペンションの多い地区で一泊するか・・・。とにかく16日のうちには帰らなくてはなりません。天気予報では午後から晴れ・・・。しかし山の天気は分からない・・・。判断に苦しみます。
そうこうしているうちに、一緒に野宿していたポーランド人サイクリストのドミニク君も起床。1時間ぐらい雨の様子を見ていましたが、彼は松本方面にむけ出発!ぼくらは見送ります。さて、どうするか・・・。
「雨にぬれても登坂で汗だくになっても、そうは変わらないだろう」この意見で弟と一致。無理やり出発を試みます。
8:00 風穴の里出発

細く長いトンネルが続きます・・・。車も多く、歩道もなく、路面状況もかなり悪いです。
ミスったら死。まさに死ととなり合わせ。

10kmほど走り、なんとか前川橋という乗鞍への分岐に差し掛かります。
あいかわらず、大雨が降り続きます。

11:00 ひたすら登り続け、駐車場やビジターセンターのある場所に辿り着きます。
補給用の水分、パンなどを売店で買いこみます。

雲の速度がものすごく速いので、ときおり青空が見えたりもしますが、基本は雨です。雨と汗で、もうこれ以上濡れないという所まで、びしょ濡れになりました。平均斜度6%の坂道をなんどもくねくね登り続け、ようやくマイカー規制ポイントの三本滝に到着です。標高1600m。
乗鞍スカイラインは環境への影響を考慮?して、マイカーやバイクの乗り入れが禁止されています。そのため、頂上の畳平までは、バスかタクシー、自転車でないといけないのです。

雨合羽を着ても暑いだけなので、Tシャツで登っていきます。
一気に登っていくので、ついさっき通った道が、下方に見えます。一気に登っていることが分かります。さっきまであそこにいたのに・・・。

とにかく足が回らなくなっていきます。ギアはこれ以上ないってところまで軽くしました。
途中、水分補給と栄養補給はこまめにしていきます。
しかし、パン一つを食べても、2つ3つカーブを曲がって上ると、すぐにお腹が減ってしまいます・・・。
ものすごいエネルギー消費量です!!

ハンガーノックになったら終わり。こまめにパンやチョコレートは欠かせません。
ヘアペンカーブをこれでもか、これでもかと登っていきます。
二人とも既に心は折れる寸前の精神状態で漕いで行きます。

ロードバイクの人たちも大勢来ていますが、どんどん僕らを追い越していきます。そのたびに心が折れそうになるのを必死にこらえます。ぼくらはキャンプツーリング。ぼくらはランドナーとマウンテンで制覇するんだ!!

ツールドフランスのアルプスコースで見るようなヘアピンカーブの連続・・・。つづら折りです。
とんでもない所を登っていることを実感させられます・・・。

森林限界を超えると同時に雪が姿を現します・・・。かなり厚い雪です。スキーヤーもいます。
僕らは半そで半ズボン。
それでも、体の内側から湧き出る熱エネルギーで、大量の汗が吹き出します。

そこは異世界。
森林限界を自転車で超えたのは初めての経験。
ものすごい景色の中を走り抜けていきます。
しかし、二人とももうヘロヘロ・・・。次のカーブこそはゴール。次こそは・・・ことごとく裏切られます。
全然着かない。
霧というか雲の中に入り、視界のほとんど無い中をひたすら登っていきます。
まるで黄泉の世界・・・。
そして突然現れた県境の看板。
・・・到着・・・。ビジターセンターから4時間登り続けました。
15:00 標高2715m!!
自転車で来れる最高地点です。
ようやく制覇できました!あとは高山に下るのみ。爽快なダウンヒルが待っているはずです。
しかし・・・様子が変です。
山頂にはバスやタクシー、登山客でごった返してる予定でしたが、だれ一人いない。
人がいません。霧で辺りも見えません。何が起こったのか・・・。

僕たちはすぐには状況を飲み込めませんでした。
「連続雨量オーバーの為、高山側(岐阜県側)の乗鞍スカイラインは全面通行禁止」自転車はおろか、バスとタクシーも通行禁止。長野県側も畳平手前で封鎖されていました。どおりで登ってくるバスやタクシーが少なかったわけです。
僕らはどういう選択肢があるのかも分からず、うろたえます。来た道を戻るのか・・・なんとか高山へ抜ける方法はないか?
通行止めを思い切って侵入してしまうことも考えました。しかし、そこは危険性やリスクを考えると手が出せない領域でした。日本縦断中の阿蘇、ラピュタの道の通行止めとは訳が違う気がしました。
高山側に降りることは不可能なのか。来た道を戻るしかないのか。
長野側から登ってくるローディー達は、記念撮影をし長野側に降りていきます。みな、この通行止めの情報を持っていたようです。ぼくらは登り始めた時間も早く、登っている途中で通行止めになったようです。そのため、ぼくらだけが、通行止めの情報を知らない事態となったのでした。
たまたま、ハイカーを頂上まで送ってきて、帰りを待っていたタクシーの運転手にとりあえず情報を聴きます。すると、畳平には「銀嶺荘」という宿があり、多分今日もやっているとのこと。
こんな霧の中、人っ子一人いない閑散としたなにもない場所で、宿が営業しているのか・・・いささか疑問でしたが、とりあえず行ってみることにします。
怖いぐらい誰もいません。みやげ物屋も完全に閉まっており、広い駐車場には一つもクルマがありません・・・。
しかし、一番奥まで走っていくと、煌々と光を放つ建物が・・・。
銀嶺荘です!聞くと営業しているそう!!しかも通行止めで予約がオールキャンセルになり、ぼくらともうひと組しかいないという。一階のみやげ物屋は真っ暗でしたが、宿はやっていたのです。
もちろん標高2700m。雲の上の宿ですから、そう安くはありません。しかし、もう手持ちの食料もない。一泊二食付きをお願いすることになりました。
ずぶ濡れの僕らを見て、風呂を沸かす時間を一時間早めてくださいました。銀嶺荘のみなさん、ありがとう!
風呂に入り、早めの夕食を食べたあと、そのまま19:00から朝まで倒れるように寝てしまいました。
テーマ : 自転車旅行
ジャンル : 旅行