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「銀輪記」~自転車旅行の記憶~
 

鹿児島中央駅で線を結ぶ|DAY7

2014.2.16 垂水ー鹿児島

鹿児島


鹿児島中央駅・・・


6年前、ぼくはこの駅から西日本縦断に挑戦し、そしてその4年後にこの駅から日本縦断を始めました。

ぼくにとっては西日本の旅の起点とも言えるこの駅は、僕の中では特別な駅であり、今回の旅の終わりにふさわしいと思われました。

と、同時に

6年間走り続けてきた旅、あるいは「日本中を走り尽くす」という当初描いていた僕の目標のようなものに、一度終止符を打つ場所としてふさわしい気がしたのです。




鹿児島ライダーハウスたるみず

昨晩は…

幾つかの奇跡と強い縁によって、10年間の歴史に幕を閉じる間近だったライダーハウスたるみずに導かれるようにして辿り着きました。ぼくの大切な人の思い出の地であり、訪れてみたかったライダーハウス。もうすでに閉所したものとばかり思っていましたが、奇跡的に3月2日まで開所されていることを知ったのでした。あと2週間で閉鎖というタイミングだったのです。


そしてすっかり記憶から消え去っていましたが…

垂水のライダーハウスのオーナーとは、日本縦断の時に阿久根のライダーハウスでお会いして旅談義を交わしたことがあったのでした。阿久根のあの日は、何かと不思議な出来事が多く…ぼくの人生をも大きく変えた日でした。(詳しいお話は、ぼくとお会いしたときにでも)


京都人のオーナーにとって、垂水へ移住してライダーハウスを開いた10年間はそれはそれは掛け替えのない素晴らしい時間であったそうで、ライダーハウスを辞めて今度は自分が旅に出ることを決意はしたものの、次のステップに進むことへの不安と、辞めたことを後悔するんじゃないかという不安に押しつぶされそうになりながら、残りの一日一日を過ごしているようでした。

垂水のオーナーはライダーハウスを辞めて、ぼくは6年間の旅が今日で終わる…


朝起きてからも何か気力がどこかに行ってしまったようで、ぼーーっとしていました。

錦江湾を北上

昨日の夕陽を、桜島を、開聞岳を見た時点で、なんだか僕の旅は終わってしまった気がして、ある意味「惰性」ともいえるような走り方で、桜島に吸い寄せられるように走っていきました。

鹿児島のシンボル桜島へ

桜島は噴煙を上げていて顔は砂っぽい

桜島には人が住んでいて学校も病院もある

桜島には人が住んでいて学校も病院もあることには驚きました。島の東側には溶岩地帯が広がっていますが、西に進むにつれて町がチラホラ見えてきたりします。それと、大正時代の噴火で桜島は大隅半島と繋がってしまったので、陸続きの島になっていることも行ってみて初めて知ることとなりました。

なかなか行ってみないと分からないものです。


旅をしていると「行ってみないと分からないものだなぁ」というのをつくづくと感じます。


「あそこはこういう所だったよ」とか「さっき行って来たらこうだった」という話よりも「今、ぼくはここにいる」ことによって得られる事の方が何倍も新鮮で面白くて楽しくて…、その新鮮さというのは何物にも変えられない価値のあるものなのです。少なくとも、僕にとっては。


桜島の昭和臭ただようカラーペナントを手に入れたぞ

桜島の物産館で昭和臭ただよう「カラーペナント」を手に入れ、

DSCF7308.jpg

フェリー乗り場近くの生協で弁当を買って、海を見ながら昼ご飯を食べました。

海の向こう側には鹿児島の街が見えています。

桜島フェリーで鹿児島市街へと渡る

自転車に乗ってフェリーに乗り込む場合のフェリー乗り場の入り口がどこにあるのか少し迷いましたが、何のことは無く、自動車が入る料金所に自転車で乗り込めばいいのでした。

250円、15分の船旅。

桜島から鹿児島市街へと渡ります。


鹿児島市街の大きな通りと、フェリー乗り場、鹿児島中央駅の場所は、だいたい頭に入っているので…

鹿児島市内パース通り

なんとなくこっちだろうという道を走っていけば、見覚えのある道に出ます。

あとはずっと真っ直ぐ走ってさえいれば駅には着くのです。


6年前、桜島を見に行くために走った道のりを、逆方向へと進んでいきます。

あの時はこれから始まる「旅というもの」に心躍らせ、高揚し、期待に胸を膨らませていました。


そして今は、特に感動するでもなく、かといって悲しい感情でもなく、「もうこれでいいかな」といった感じの満足感というか、自分でも不思議なくらい落ち着いた心持ちになっています。

鹿児島ナポリ通りを行くもうすぐゴール

見覚えのある観覧車が見えてきました。

旅のゴール、鹿児島中央駅

14:40 鹿児島中央駅に到着。


終わったなあと思いました。満足感に満たされて初めて、「これで旅を終えてもいいかな」とも思いました。かつて「もうこれ以上はいいや」って思ったことはまず無かったように思います。自分の中の日本一周でポカンと開いていた九州の東側を走ることが出来て、なにか突っかかっていたものが不意に取れたような感じがしました。


僕の旅に関わってくれた全ての人に感謝したい気持ちで一杯でした。


…ここからまだ旅を続けて熊本や長崎、佐賀や福岡を走りぬけることも考えていましたが、ここが潮時のような気もしました。



それと絶対にもう二度と来ることが出来ない「ライダーハウスたるみず」という場所にもう少し滞在して、垂水という町をもっと見てみたい気もしていました。

僕はこれ以上は進まないことを決意し、鴨池港から今朝、鹿児島へと発った垂水へとフェリーを使って戻ることにしました。

昨日初めて来たはずの場所なのに、フェリーの甲板で冷たい風に吹かれていると、なんだか自分の家に帰るようなそんな気持ちでした。垂水に帰ります。

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手にした一台の自転車は、思いがけず遠くへと私を連れていき、生活へと染み込み、ついに。

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