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「銀輪記」~自転車旅行の記憶~
 

やまなみハイウェイ苦渋連山|大阿蘇②


2015.8.6 別府~やまなみハイウェイ~阿蘇|大阿蘇②



旅は早起きになる。

5時半。日の出と同時に起床、朝風呂ならぬ朝温泉を贅沢にキメる。湯気にメガネも曇る。今日は終始上り坂であることは分かっているから、朝の早い時間から出発して涼しいうちにある程度登っておきたいという思惑があった。目的地の阿蘇までは「やまなみハイウェイ」と呼ばれる山岳ルートを通ることにしていたのだ。



予想通り、別府の町中からすでに上り坂がスタート。



慣れないロードバイクという乗り物に多少苦戦しつつ、まだ目を覚ます前の別府の町を登っていく。そこら中から湯煙の上がる様子と所々でする温泉香は、ああ、温泉地に来ているなぁと実感させる。ローソンで補給食と朝食を買い込み、更に重くなった体とバックパックにうんざりしながらも、軽いギアでくるくる回していく。

町を抜けると、一気に山中の風景に。朝早く、多少は涼しいとは言うものの、上り坂ではあまり変わらないような気もする。汗が滝のように吹き出してくる。髪から垂れた汗がメガネに引っ付いては、立ち止まり、メガネを吹いては水を飲み、また汗をかき……というのを繰り返しながらロードバイクらしからぬスピードでノソノソと上がっていく。背中のバックパックの鬱陶しさからすでに「サイドバッグに荷物を入れられるランドナーでくれば良かったか」と後悔したりしてみる。たぶん、ランドナーで来たら来たで何かしら理由をつけて、「ロードバイクで来ればよかった」などと愚痴るのだろう。なんとも勝手なものであるが、そんなもんである。

城島高原を抜け、一つ、峠を越えると眼下に由布院の町が広がる。ここも温泉地。



阿蘇を彷彿とさせる草原の広がる「由布岳」と「鶴見岳」には息をのむ美しさがあった。

由布院の道の駅では、休憩がてら、今夜の宿をとることにした。どうやら阿蘇まで行けそうな気がする。阿蘇ならどこでも野宿できる気もする。でも行っておきたい宿があった。勉強にもなるだろう。阿蘇駅近くのゲストハウス「阿蘇び心」。言わずと知れた、日本トップクラスのゲストハウス。電話を掛ける。気持ちの良い対応。今夜の宿が楽しみ。





由布院からもずっと登り道が続き、視界が開けたと思ったら「長者原」。かねてから訪れてみたかった場所である。自転車を置いて、「タデ原湿原」を歩く。周りが山に囲まれ、この湿原が火山地形の扇状地に形成されたものであろうことが分かる。九重連山の山肌はなかなか迫力がある。



ちょうど腹も減ったので、道沿いのドライブインで昼食をとった。こういう何の変哲もないドライブインなど、僕は大好きである。



牧ノ戸峠を越えると一気に下り坂になり、阿蘇外輪山に向けて下っていく。見覚えのある風景に再び戻ってきた感覚がある。外輪山から阿蘇の町中へ降りてしまうと、また登ってくる気力はなくなるであろうから、せっかくなので大観峰やラピュタの道などにもよってみた。聞いてはいたが、やはりラピュタは残念な状態に。知られ過ぎた。今や大手旅行誌にも掲載され、クルマが溢れんばかりに駐車してある。全面通行止めなので、歩いてはいるのも禁止のハズだが、ずかずかと柵を乗り越える旅行者……。



まだあまり知られていない別の道で、外輪山を降りることにした。



内牧温泉に立ち寄り、町湯を堪能。町湯「大阿蘇」入浴料100円。まだ時間も早いこともあり独り占め状態。お湯はこれでもかというくらい、湯船から豪快にこぼれ落ちている。メガネが曇る。


阿蘇び心にチェックイン。夜は「お弁当のヒライ」で買ってきた惣菜で、同室の旅人と宴。

ここで、ふと気が付いた。

「いつもと同じだ」

ゲストハウスで働いているから、旅人同士の一期一会の宴が日常になっている。今までの旅はこういう出会いが非日常で新鮮だった。

今度は野宿をしようと思った。
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手にした一台の自転車は、思いがけず遠くへと私を連れていき、生活へと染み込み、ついに。

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