箱石峠、南阿蘇、地獄行き~地獄温泉へ|大阿蘇③

2015.8.7 阿蘇
早朝。草原の景色。
ゴロゴロとした岩。
シュメール文字が残るという「押戸石」という場所に連れてきてもらった。説明してもらったシュメール文字とやらは、よく分からなかったが、外輪山に広がる草原の中心に立っているかのようで、その展望は素晴らしかった。
帰ってきて、自転車に乗り換え。もう1日、連泊することにしたので荷物は全て宿に置いて、身軽な状態で阿蘇をぐるっと回ることにした。
さて、どこに行くか・・・。
昨日買ったペットボトルのお茶が、もう空になっている。いつもならコンビニエンスストア、できればスーパーに行って安いのを買うところだが、「そう、ここは阿蘇」水がどこでも湧いている町。もっと安く水を手に入れる方法を。ということで、まず水をゲットできる場所として頭に浮かんだ「阿蘇神社」へと向かった。そこなら簡単に水が汲める。
まだ、人もまばらな阿蘇神社で参拝を済ませた後、参道にて大量に湧き出る水を頂戴した。これがまたひんやり冷たく、美味い。

どこに行くか、特には決めていなかったものの漠然と「南阿蘇」に行きたいと思っていたので、阿蘇神社方面に来たついでに「箱石峠」を登ることにした。ほとんどクルマ通りもなく、のんびりと峠を登っていく。数年前に土砂崩れ防止の工事中だった場所も、とっくに工事は終わっていた。砂防壁をつくる所は、道からはあまり見えない、ブラインドの場所に配慮されて設置されている気がした。「気がした」というのは、本当に考慮されているか怪しいものもあり、あくまで印象的にそう感じたという程度であるから。こういうのは旅行者の勝手な目線からすると、とても有難い。


南阿蘇へと降りてきた。さて、どこへ向かおうか。
「地獄温泉」・・・前に阿蘇へ来た時に、熊本のサイクリスト「ちょびさん」が教えてくれた温泉。どんな温泉だという話だったかは、うる覚えではあるものの(なんだか泥?の温泉と聞いていたような)、なんとなくその名前のインパクトから南阿蘇にあることは覚えていた。地図を見てみると、阿蘇の登り道の途中からも行けそうな道ある。
「南阿蘇の風景を、高いところから見たい。」以前感動した俵山からの南阿蘇の展望。その経験から、阿蘇に来たら高いところから南阿蘇の風景を見たいというのはあったので中岳への登り道を通るのもいいコースだと思った。
「よし、ここへ行こう。」
直接、地獄温泉へと続く道はより短く、そちらを走るのがセオリーとも思ったが、そんな理由でぐるっと回り込むことにした。

阿蘇山への登り道を登っていく。一度でも走ったことのある道というのは、走りやすいものである。思いのほか簡単に登っていくことができた。やはり、南阿蘇の景色には癒される。

北阿蘇の広大な田園風景ももちろん良いのだけれども、ぼくはこの南阿蘇の景色が好きだ。外輪山と阿蘇山との距離感なのか、地形的なモノなのか、より立体的に見える気がする。

ある程度登りきると、牛の闊歩する牧草地へと出る。この牧草地に、左へと折れる道があるはず。看板を発見。あまりに狭くガレた道で焦る。ロードバイク乗りの人なら、自転車をいたわってまず行かないような道だった。僕は、こういうのが大好きである。ただ、車種が間違っている。タロー号で来るべきである。何度も転びそうになりながら、降りて行った。進むにつれ、さらに難易度が増していく。確かに「地獄」への看板があるので、間違いはなさそうではあるが……。

本物の地獄へと落ちないように細心の注意を払って降りて行った。突然の温泉臭。地獄は近い。川も温泉になっていた。

さらに下るとすぐにそれらしい場所にたどり着いた。どうやら「清風荘」という旅館が、地獄温泉らしい。旅館の入り口で日帰り湯について尋ねると、旅館の方が詳しく説明をしてくれた。どうやら“離れ”で3か所に温泉があるらしく600円で全て入ることができるらしい。なかでも、有名なのは「スズメの湯」という混浴露天風呂らしいこともわかった。旅館の建物以外にもいくつも建物が乱立し、つげ義春の旅行記に出てくるような昔ながらの鄙びた湯治場。簡易宿泊所というか長期宿泊所のような建物もあった。使われているのかは、わからないが……。


まず、体を洗うスペースのある「内風呂」へと向かった。駐車場の車の量から推測するに、結構混雑しているのかと思いきや、扉を開けるとすっからかん。誰もいなかった。思いがけず、独り占めである。湯は白濁した酸性硫化水素泉という温泉らしい。浴槽の底には泥のように沈殿物がたまっている。
続いて、例の「スズメの湯」へと向かった。露天は田んぼのように区切られ、先ほどの内風呂よりも白濁しているように感じる。浴槽の底からもぼこぼこを湧き出し(こういう演出なのか?)地獄感がある。ただし、ここに来て見ると、先程内風呂がすっからかんだった理由がわかる。それは客の雰囲気からじんわり伝わってくる。かなり長時間、入浴していると思しき男性客が10人ほどいた。
建物や温泉の感じは歴史を感じさせるものであるのに、なんとも入浴しにくい雰囲気だったので、もう一か所ある男女別の露天風呂「露天岩風呂」へと移動することにした。予想通り、貸し切り状態であった。結局、内風呂と岩風呂で他の客と出会うことは無かった。
なんとものびのびと白濁した温泉を楽しむことができた。

風呂上がりのコーラは格別。五臓六腑に沁み渡る。
まさに極楽。
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