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「銀輪記」~自転車旅行の記憶~
 

阿蘇から臼杵まで85帰路|大阿蘇最終話


2015.8.8 阿蘇~竹田~臼杵・・・八幡浜・・・今治


突然、心配になった。

この日中に今治まで帰らなくてはいけない。阿蘇から85kmほど離れた大分県は臼杵(うすき)という町からフェリーに乗って八幡浜へ渡り、今治まで列車で帰る予定だった。今治までの列車の時刻を考えると、午後3時か4時には臼杵に到着していないと、今治までたどり着けないことが分かったのだ。

阿蘇から臼杵は下り基調なのは知っていたし、普通に出発して3時までに到着できない距離ではない。

しかし、途中で何かトラブルが起きたときは話が変わってくる。

臼杵まで大分市経由で電車も繋がってはいるが、予定したサイクリングコースは途中から線路沿いを離れる。自転車が走行不能になった場合に、どうすることもできない状況になる。相当な田舎を走ることになるから、バスも期待できない。

自分の心配性を呪う。間違いなく、この心配性は母親譲り。次から次へと懸念事項が出てくる。こうなってしまうと、もはや眠れなくなる。



朝、4時半。まだ薄暗い中、出発することにした。

また、阿蘇神社によって水をくむ。外輪山を登る。外輪山を登った後は、ほぼずっと下り基調だった。昨日は荷物を軽くして走っていたので楽だったが、また重くなった。サイドバッグで来ればよかったと思った。



心配していた通り、町がぽつぽつと現れるだけの田舎道だった。ただ、心配していたようなトラブルは起こることもなく、順調に下ってくることができた。

臼杵に到着したのがまだ午前中だった。思いのほか、早い到着。これも心配することもなかったのかもしれない。


少し、心に余裕が出てきて、「臼杵石仏」へと立ち寄った。







阿蘇の火山性の岩石に彫られた石仏は、風化しやすく人が手入れをしていないとすぐに崩壊してしまう。臼杵の石仏群はかつてはかなり崩壊が進み、消滅寸前までいったようだ。想いをもって守り続けている人がいるということが、ひしひしと伝わってくる石仏群だった。



臼杵港からフェリーに乗った。2時間ほどで到着するので、いまいち眠ることもできなかった。

行きしなに、夜のうちに到着した「八幡浜」という町。昼の明るい時間に到着し、ああ、こういう町だったのかと思った。やはり中央構造線のとおる町。山が切り立って迫っている。


列車の発車時刻まで、まだ時間があったので、町なかを散策することにした。



あまりに魅力のある外観に感動し、吸い込まれるように入っていった。内装も予想通りロマンあふれる感じ。素晴らしい。番台のお婆さんにいつからやっているのか聞いてみた。「ああ、もう100年近いね」簡単に言う。「この人に聞いた方が早い」と常連さんらしきお爺さんを指さす。このお爺さんは小さいころからこの「大正湯」に通っているらしい。お爺さんのお祖父さんの代から通っているという。今、僕はとんでもない銭湯にいるらしかった。

この銭湯に来るためだけに八幡浜を訪れるのもいいなと思った。


心配性から、発車時刻の30分以上前から駅で待機していた。

ワンマン列車で、予讃線の海側ルートを通った。車窓からの海の景色は素晴らしいものがあった。「下灘」という駅がある。今、様々なメディアで取り上げられて観光客も多い駅であることは知っていた。海に近いことと、夕景みえること、JRか何かのポスターに使われたことなどから注目されているようだった。確かに、この駅だけ観光客が大勢いた。写真を撮っている人も多い。ただ、実際に行ってみると僕にはこの駅の何がいいのか、よく理解できなかった。よっぽど、車窓の移り変わる景色の方が美しい気がしたし、このあたりならもっと美しい場所が山ほどあるとも思った。「話題の場所」というのは、実際に行ってみるとがっかりさせられることが多い。



この夏の自転車旅は、もうこれで充分と思った。

水源に出会えたから。

お爺さんと話せたから。


今治の旅に戻ってきた。
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非公開コメント

No title

君も心配性か~。

考えても仕方ないと分かってても、先のことまで心配しちゃう。わかるわかる。

もっと適当に考えれたらなーとは俺もよく思うよ、ちなみに俺はばーちゃんゆずりやな(^^;)

別府に行ったならここのカフェにも行って欲しかった。

http://www.musubino.net/

俺まだ行ったことないねんけどね(笑)いつか行きたいなあと。

やまなみハイウェイも憧れの道。この時期緑が綺麗で最高やないかー。

Re: No title

海外で自転車旅するなら「心配性」くらいがちょうどいい気もしますよ('Д')

別府、朝早すぎてどこもやってなかったんですよね。

また次回行きたい場所が増えましたわ(^◇^)

ようこそ、銀輪記へ

手にした一台の自転車は、思いがけず遠くへと私を連れていき、生活へと染み込み、ついに。

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